誰でもわかる!今さら聞けないCRMとは。

マーケティング界隈でよく聞く「CRM」。Customer(Consumer)Relationship Management の略ですが、日本語で言うところの「顧客管理/顧客関係管理」です。
日本語にすると顧客帳簿のようなものを想像してしまいますが、実際は多くの使い道があります。
この記事では、CRMの定義や導入することで得られる成果、推進するために必要なことを紹介していきます。

CRM

CRMと顧客管理の定義

ここでは、CRMと顧客管理の定義、これらを理解し事業に反映させることのメリットについて解説していきます。

顧客を理解すると売上が伸びる

CRMは「顧客管理」と訳されます。
しかし、管理することが目的ではありません。
顧客管理をする目的は、
①顧客の行動や属性を理解し
②顧客のLTV(Life Time Value:顧客が自社のサービスや製品に対して払う対価)を最大化する
という2つがあげられます。
事業を発展させていくためには新規顧客獲得のみがゴールではありません。一度獲得したお客さまをブランドや自社商品・サービスのファンになっていただき、永続的に購入いただくことが必要です。
そのためにはお客さまをきちんと理解し、その方に合ったプロモーション(施策)を打つことで、お客さまに再購入していただき、永続的な売上を構築することがCRMの活動なのです。

顧客台帳からCRMへ

CRMというとイメージが湧きづらいですが、発端は顧客カルテや顧客台帳から始まっているとすると、イメージがしやすいのでしょう。
例えば八百屋を経営している場合、フレンチレストランのシェフに安い野菜をおすすめすることは得策とは言えません。
反対に、主婦に高級野菜をおすすめしてもなかなか売れないでしょう。
このように、顧客属性によって自社で扱う商品やサービスを変えていかなければ、良い成果は得られません。
既存の属性情報を理解する、属性に一番近い商品は何かを分析することで、より良いマーケティングや営業活動が可能にあります。

CRMによって期待できるメリット

CRMを導入すると、事業に様々なメリットをもたらします。ここでは、マーケティングや事業のPDCAサイクルといった観点からメリットを解説します。

部門間で戦略の策定ができる

CRMは営業担当部署だけが利用するものではなく、マーケティング部門なども活用することで部門をまたがって戦略を策定することができます。
営業部門が取得した顧客に関する情報をマーケティング部門が活用することで、スピーディーなマーケティング戦略の策定が可能になります。
社内で戦略の策定を迅速化できれば、顧客のニーズを素早くキャッチすることができ、より良い成果に繋がります。

CRMで的確なアプローチが可能に

顧客管理ができると、そのお客さま一人ひとりに合ったアプローチができるようになります。
従来企業やブランドからのコミュニケーションは、テレビCMなどのように1対マス(大勢)のメッセージ発信でした。
そのため、ある人には響くが大部分には全くメッセージが届かず、費用対効果が悪かったことが課題でした。
しかし、CRMで顧客データをきちんと管理できるようになったことと、アプローチ手法が従来のDMだけでなく、メールやLINEなどのメッセージアプリを活用することで一人ひとりに合ったアプローチが可能になりました。
そのため、お客さまの売上情報や行動特性から関連商品のおすすめなどLTVを上げることが可能になり、結果的にブランドへのエンゲージメントを高めることができるようになるのです。

施策ごとにPDCAサイクルを回せる

CRMの大きなメリットはメールやメッセージサービスを活用することで広告を打たなくても低コストで顧客へアプローチすることができるようになることです。
また、その効果検証がデータを活用することでPDCAサイクルが早く回せるようになります。
施策ごとに短いサイクルでレポーティングすることで、次の施策へすぐに改善点を活かすことができるようになります。
また、商品Aを買った人は次に商品Bを買いやすい、といったような従来は「ベテラン社員の勘」で済まされていたものが、全てデータで管理できるようになります。
本当に商品Aと商品Bの関連性があるようであれば、企業やブランドとしてそこにストーリー作りをすることで、関連購買の確率が上がります。
「勘」と「根拠(データ)のあるもの」では、今後の売上づくりを大きく左右するため、もし「勘」に過ぎないようであれば別のプラン(Plan)を立て直すことができますし、「根拠のあるもの」であれば実行や施策(Do)を高めるための評価や確認(Check)と改善(Action)を繰り返していけばよいのです。

CRMを導入する注意点

CRMを整備することで、顧客のLTVを高めることがご理解いただいたところで、デメリットを2つご紹介します。
これらのデメリットを乗り越える必要がありますが、乗り越えてでもCRMはやる価値あるものなので、社内調整含め関係各所の理解を得ることが必要です。

顧客データを揃えるためのシステム構築の手間

顧客管理をきちんとするためには、顧客データのセットアップが必要です。
属性データはどの程度取るのか、社内に点在している顧客データをどのように統合するのか、顧客管理は1ユーザー1IDにできるのかなど、会社(ブランド)によって状況はさまざまです。
まずは現状を把握し、どのようなデータを取るべきかを社内で合意形成する必要があります。
そのデータを活用したうえで自社内ではどのように顧客にアプローチするのかシナリオを立てたうえで、CRMのサービス選定やシステム構築を始めると失敗が少ないです。

ランニングコスト

システムを導入すると避けられないのがランニングコストの発生です。
CRMはパッケージ製品やオンプレミスでも、初期費用のほかにランニングコストがかかります。
特に、システムの運用・管理に必要な人件費、システムの更新にかかる費用などはランニングコストとして大きな割合を占めるため、予算を考える際には見逃さないよにしましょう。
CRMは規模や使用人数によって費用が変わり、大きくなるほどランニングコストも大きくなります。
必要な部署や担当者は誰なのかを考え、予算との折り合いを検討しましょう。

実績が出るまでに時間がかかる

CRMは成果がでるまでにある程度時間を要します。
上司はすぐに結果を求めるかもしれませんが、1か月や2か月で成果を出せるものではありません。
加えて、CRMはデータを管理・共有し、社内でどのように情報を活用するか、営業活動やマーケティングにどのように利用するか、部門間でどう連携するかなど、社内体制の整備も必要になります。
CRMは中長期的に見れば事業のPDCAサイクルを回すために活用できますが、それまでにはある程度時間や労力などのコストをかける必要があります。
そのためには、社内の合意形成もしっかりと取っておく必要があるでしょう。

CRMによる顧客管理が必要な理由とは

CRM顧客管理をするためには上記のとおりデメリットがありますが、それでも投資が必要なインフラと言えます。
それはお客さまは「自分を見てくれている」サービスを望んでいるからです。
テレビCMのような1対マスのコミュニケーションではなく、自分に合った商品を常に探しており、企業やブランドにも自分を見てほしいと思っているのです。
そのようなサービスに出会えた時のお客さまの感動は大きく、なかなか他の企業やサービスには乗り換えません。
たとえ他社に類似サービス・商品があり、価格が多少安かったとしても、エンゲージメントに勝る購買動機ではないからです。
一度ファン化したお客さまは年間購買金額も上がっていき結果的にLTVは上がります。
リソース面でのCRMへの初期投資こそ大きいですが、将来的にはその投資は回収できるどころか、大きな資産になります。
そのため企業やブランドにとってCRMはとても重要なマーケティング活動になるのです。