最近よく聞く「チャットボット」という言葉。言葉を知らなくとも既にそのサービスを知らず知らずのうちに体験しているかもしれません。
この記事ではチャットボットの定義とその種類やメリットデメリットをご紹介したうえで、どのようなサービスに向いているかを紹介しています。
ロボットなので完全ではない部分もありますが、不完全さを補完していくことで今後普及していくサービスとして期待されています。
チャットボットとは
「チャットボット」は「chat(おしゃべり)+robot(ロボット)」の造語です。
おしゃべりロボットですが、ドラえもんやペッパーなどのいわゆるロボットではなく、メッセージアプリや問い合わせページ内に組み込まれているロボットなので目に見える人型や動物型ロボットではありません。
チャットボットの種類
現時点で、大きく3種類のチャットボットが存在します。
①選択肢型
1つ目は選択肢型です。
ユーザーが与えられた選択肢を選択すると、その選択肢に応じた答えが返ってくるものです。
選択肢を事前に準備する必要がありますが、答えが選択肢に応じて返されるので比較的簡単に導入することが可能です。
選択肢型を導入している事例としては、「三井住友カード」のお問合せです。
メニューの中から「お客様サポート」を選択し「ご質問をどうぞ」をクリックすると、チャットボット型の問合せフォームが登場します。
②辞書型
2つ目は辞書型です。
ユーザーがあるキーワードを入力すると、そのキーワードに応じてチャットボットが答えを返してくれるものです。
ユーザーは特に選択肢を与えられているわけではないので、特定のキーワードを入力しなければ全てエラーになって返されてしまいます。
そのため、辞書内にあるキーワードを入力してもらえるよう、ユーザーをリードする必要があります。
また、類語などを辞書内に登録する必要があり、事前にキーワードのセットアップすることが必要であるため、①選択肢型よりも導入に準備を要します。
例としてはLINE家計簿がLINE内で展開しているものです。
例えば「ランチ 1000円」とユーザーが入力するだけで、食費、金額、日付などがLINE家計簿アプリに反映されます。
つまりランチが食費に分類されるよう、キーワードとカテゴリーのセットアップなどがされています。
③選択肢型&辞書型
3つ目は選択肢型&辞書型の組み合わせです。
これは選択肢型である程度顧客の問い合わせや要望を絞り込んでいけるため、辞書型よりも辞書内のキーワードが少なくてもセットアップができます。
例としてはセブン&アイ・ホールディングスが運営するomni7で使っているような問い合わせなどです。
キーワードを入れると該当の候補が表示され、選択できるというものです。
チャットボットを使用するメリット
チャットボットを使用するメリットは、人件費の削減や顧客ニーズの掘り起こし、調査費用の削減などがあげられます。詳しく解説していきます。
人件費の削減につながる
チャットボットのメリットの1つは人件費の削減につながることです。
全てをチャットボットにしなくとも、顧客の要望の絞り込みだけでも多いに意義があります。
要件を聞いたり、関係部署につないだりするだけでも人件費は発生します。
東京都の最低賃金は時給1013円ですが、仮にその作業に1分かかったとすると、およそ17円人件費が発生する計算になります。
さらにそこに作業数(=顧客数)が発生すると莫大な費用が削減できるのです。
テキストマイニングによる顧客の要望の掘り起こしが可能
チャットボットを導入する2つ目のメリットは顧客の要望の掘り起こしが可能であるということです。
選択型の場合でも、どの要望が最も多いのかを企業やブランドは把握できるため、脆弱な部分を補強できるようになります。
また、辞書型の場合は顧客が自らの言葉を入力するため、テキストマイニングというチャットボットがキーワードを詮索する機能を発揮できます。
テキストマイニングは、自社内で想定してなかったユーザーの要望などの掘り起こしに有効であるため、新たなサービスの展開につながる可能性があります。
マーケティングにかかる調査費用が節約できる可能性がある
新サービスや新商品の設計には仮説を実証するためのユーザー調査が行われます。
しかし、チャットボットを導入していると、前項で説明したようなテキストマイニングなどによるユーザー需要の掘り起こしが可能です。
本来インサイトを発掘するためには費用をかけてユーザーインタビューなどの調査をします。
しかし、テキストマイニングから新たな仮説ができることはもちろん、実際のユーザーがよく調べている言葉を把握できるため、ユーザーが望んでいるものがダイレクトで分かります。
結果的に調査費用をかけずに済む可能性があります。
チャットボットのデメリット
チャットボットはまだまだ開発途上のテクノロジーであり、まだ完璧ではありません。
クレームなどの相談窓口をチャットボットに対応させた場合、ユーザーの意図を理解できず見当違いの反応を示すことがあります。
そうなると不満を言うために問合せしたユーザーにより不快感を与えてしまう可能性があります。
ロボットなのですべての対応は現時点では対応が困難であるため、選択肢型&辞書型を組み合わせるなどで、ある程度の要件を絞り込んだり、スムーズに有人チャットへ切り替えたりするなど、顧客の状況に合わせて対応を変えることがおすすめです。
ユーザーの言葉の裏にある意図をチャットボットが読み取れる時代が早く来るとよいですね。
チャットボットが活用されるビジネスシーン
チャットボットのメリットとデメリットを把握したうえで、活用が期待されるビジネスシーンをここでは紹介します。
お客さまセンターや問い合わせ窓口
問い合わせ窓口の一次窓口としてチャットボットの活用が期待されています。
顧客は色々な意見や質問があり電話や問い合わせをしてきますが、適切でない問合せ先に連絡してくることがしばしばあります。
そんな時にチャットボットを一次窓口に用いると適切な部署や問い合わせ先を案内することができるため、転送するための人件費を節約できます。
また、チャットサービスでチャットボットが対応できないと判断した際に有人チャットで案内することで、チャット上で解決することもできます。
チャット上で解決できれば顧客側も電話代が節約できるなどメリットも多いので、企業へのロイヤリティが向上するきっかけにもなります。
社内での人事や経理などで活用
対外部だけでなく、社内の問い合わせにも有効です。大企業では日々同じような質問が多数の社員から寄せられることがあります。
特に人事や経理などの総務系の質問は重複するものが多く、部署によってはメールで回答テンプレートを用意しているところもあるでしょう。
テンプレート回答だと幅が広すぎず、結局メールを読まれず確認の電話がかかってきてしまうことがあります。
事前にチャットボットを活用し、選択肢型&辞書型を組み合わせることで問合せ内容を絞っておけば社員も必要書類のみダウンロードすることができ、不要な情報は見ずに済みます。
問合せに対応する総務系の部署の対応時間が激減するだけでなく、問合せする社員の貴重な稼働時間を無駄にしません。
チャットボットは社外向けのお客さま問合せ窓口対応のイメージがありますが、社外サービスだけでなく社内でも有効に活用することで問い合わせする側・される側双方の人件費の節約につながります。
記事は、以上となります。
4b-mediaでは複数の魅力的なチャットボットサービスを取り上げていますので、個々のサービスをもっと知りたい場合は、記事の方をご覧ください。