オンライン会議を快適にするノイズキャンセリングとは?

オンライン会議では話し手の音声がよく聞き取れなかったり、周囲の音がうるさくて集中できないことがしばしばあります。
こうした“音”に関する技術的な問題は、今なおリモートワークの普及を阻んでいます。

本稿では、オンライン会議を快適にするノイズキャンセリングの仕組みや、おすすめの対策法をご紹介します。

ノイズキャンセリングとは何か

ノイズ(Noise)とは「雑音」のことであり、オンライン会議においては「環境音」を指します。

ノイズキャンセリングとは、環境音を除去するための手法です。

オンライン会議では、かねてから多くの方が環境音によって相手の音声が聴き取りずらくなることに悩んでいました。
単純にボリュームを上げて対処しようとすると、大音量の音が耳に与えるダメージが大きく、難聴のリスクにつながりかねません。
また、こちらの音声に周囲のノイズが入ってしまうことも問題でした。

こうした問題の対処には、近年進化しているノイズキャンセリング機能が便利です。

ノイズキャンセリングのメリット

ノイズキャンセリングを用いると、 他の参加者から伝わるスピーカーのノイズがほとんど聞こえなくなります。
また、こちらのマイクから他の参加者に伝わるノイズが除去され、相手にもノイズが伝わらなくなります。

イヤホンやアプリなどに実装されており、利用法も簡便です。

近年のイヤホンはワイヤレスで軽量化され、煩わしくなく、また専用アプリを利用するとワンクリックのミュートが可能です。

このように、ノイズキャンセリングによって作業環境の音に左右されず、快適なオンライン会議が可能になります。

ノイズキャンセリングのデメリット

一方、環境音を完全に消去することにはデメリットもあります。

それは必要な環境音まで消してしまうことです。

たとえば、小さい子どもがいる環境で子どもの声をノイズとみなして除去してしまうと、泣き叫ぶ声まで全く聞こえなくなってしまいます。
また、出先で作業後、うっかりイヤホンを外し忘れたまま移動すると、自動車の音が聞こえなくなる安全上のリスクもあります。
したがって、オンライン会議でノイズキャンセリングを活用する際には、使用時の設定に細心の注意が必要となります。

ノイズキャンセリングの仕組みとは

ノイズキャンセリングはどのような仕組みになっているのでしょうか?

音声を含め、私たちが普段耳にする音は空気の振動です。

横軸に時間、縦軸に振動の大きさ(振幅)をとったグラフ上で表すと、波のような形をしています。

人の音声のほか、自動車や飛行機の音、エアコンの動作音、犬の鳴き声など、あらゆる音はすべて「波」として扱うことができます。

最も単純な波形は正弦波であり、固有の周期(周波数)をもっています。
全ての波はさまざまな周波数をもつ正弦波で合成できるため、異なる周波数の正弦波に分解できます。
こうして集録した音は、ある特徴的な周波数をもつ成分(信号)と、信号以外の成分(ノイズ)に分けられます。このような信号処理は電子回路(ハードウェア)、あるいはデジタル回路(ソフトウェア)上で行われます。

音声信号とノイズを分離した後、ノイズを低減・除去するノイズキャンセリング処理を行います。

ノイズキャンセリングには以下の2種類の方式が知られています。

パッシブ・ノイズキャンセリング

周りで発生する騒音や雑音を物理的に耳に届かなくするのが、パッシブ・ノイズキャンセリング です。
イヤーチップやイヤーパッドなどで耳に音が届かないようにすることで外部のノイズを遮断します。
デジタル処理に頼らないことからバッテリーの消費がありません。
しかし、リモートワークなどで、こちら発信するノイズの除去などはできません。

アクティブ・ノイズキャンセリング

米アップル社のイヤホン「AirPods」などで採用されている仕組みです。
環境音を内蔵マイクで継続的に拾いながら、ノイズを打ち消すような音(逆相)を合成して打ち消し合うことでノイズを除去する手法が一般的です。

また、最近ではAIによる音声とノイズの精度の高い識別が可能になっています。
米KrispTechnologies社のアプリ「Krisp」はニューラルネットワークモデルを用いて、5万人の音声および2万種のノイズを計2500時間分入力。
音声信号に特徴的な波形を予め学習することで、サイレンや叫び声のような高い周波数の音や突発的な音までノイズとして識別できます。

リモートワークでノイズキャンセリングを活用する方法

リモートワークでは、ZoomやSkypeなどを利用したオンライン会議のやりとりの際にどうしても入ってしまう音声ノイズが悩みの種でした。
大事な情報が聴き取れないだけでなく、せっかく準備したプレゼンテーションの発信も台無しになってしまいます。

ノイズキャンセリング機能を備えたヘッドホンやイヤホン、アプリを活用すると、話し手の音声だけをクリアに伝えることができます。

オンライン会議に活用できるサービス例をご紹介しましょう。

ワイヤレスイヤホン「AirPods」

AirPodsは音楽用だけでなく、リモートワークにも最適なワイヤレスイヤホンです。ノイズキャンセリング機能を備え、アップル社製品以外のAndroidスマホやWindows端末にも対応し、ペアリング操作も簡便です。
また、「外部音取り込み」という便利な機能があり、本体搭載マイクで環境音を適度に取り込めます。
セミナーや動画の音声を聴きながら、家事・育児・ペットの世話などを行う「ながら作業」にもってこいの機能です。
形状が気になる方は、細く長めの形状の通常モデルではなく、よりコンパクトな耳栓サイズのAirPods Proモデルがおすすめです。

アプリ「Krisp」

AIによるノイズキャンセリングアプリKrispは環境音を種類ごとに分離し、より精度の高いノイズ除去が可能です。
街中・カフェ・空港・子どものいる部屋など、リモートワークのシチュエーションごとに適したノイズキャンセリングの種類を選べます。

これにより、環境音を一律にノイズとみなすのではなく、より解像度の高いノイズキャンセリングが可能です。
また、一連の音声処理はローカルで実行されるため、音声データが外部に漏れる心配はなくセキュリティ面でも安心できます。

まとめ

近年のノイズキャンセリング機能は劇的に進化しています。オンライン会議における環境音のシャットアウトは遥かに容易になり、作業環境に応じた音の抑制さえ自由自在です。

ノイズキャンセリング対応の機器やアプリを有効に活用し、環境やシチュエーションを選ばないリモートワークをより快適なものにしましょう。