ITの基本を解説- ノーコードとローコードとは?

「こんなウェブサービスがあったら便利!」「こういうアプリを作りたい!」
いいアイディアを思いついたとしても、形にするのは大変なものです。

そんな夢を手軽に叶えてくれる、プログラミングの専門知識がなくても利用できる、いま注目のノーコードとローコードです。

本稿では、ノーコードとローコードについて解説します。

ノーコードとローコードとは何か

「デジタル化」が叫ばれる昨今の開発現場では、必要なシステムを早急に作ることのできる体制が不可欠です。

ところが、一般的なプログラミングでは専門的なコードを書く技術が求められるため、時間や労力などのコストがかかります。

ノーコードとローコードは、こうした現場の要請に応えるサービスです。

ノーコード(No Code)は文字通り、コードを一切書かず、GUIの操作(クリックやドラッグ&ドロップを行う)だけでアプリやウェブサービスを作ることができます。

一方、ローコード(Low Code)は一定量のコードが必要なものの、従来ほど大量のコードを必要とせず、GUIの操作で手軽に作れます。

ノーコードとローコードの違いは、必要となるコーディングの量です。
自分でコードをある程度書く必要のあるローコードでは、その分“自由”も生まれます。
そのため、汎用性・拡張性ではローコードはノーコードに勝ります。逆に、簡便さ・手軽さではノーコードがローコードを上回ります。

プログラミングを「ラーメン」にたとえてみましょう。
専門的なプログラミングは「お店で食べるような本格的なラーメン」であり、一般の人が再現するのは難しいものです。
ノーコードとローコードはいずれも「インスタントラーメン」にあたります。
ノーコードはお湯を注ぐだけで食べられる「カップラーメン」、ローコードは茹でたり具を入れたり多少手間がかかる「袋麺」といえます。

「インスタント化」という“近道”によって、ラーメンの食文化が一層普及したのは周知の通りです。

技術は成熟すると、それまで少数の専門家が独占的に利用していた仕組みを多くの人が利用できるように工夫され、文化として広がります。
ノーコードとローコードは高度なプログラミング知識をもたない“ノンプログラマー”にも、手軽にアプリ開発ができるように間口を広げたといえるでしょう。

ノーコードやローコードを利用するメリット・デメリット

システム開発の「近道」といえるノーコードやローコード。

インスタントラーメンの栄養バランスが偏っているように、「近道」には良し悪しがあります。

ノーコードやローコードには、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリット

プログラミングの知識や開発環境が不要

従来、プログラミングの開発画面といえば、ノンプログラマーにとって近寄りがたいものでした。
無味乾燥な真っ黒の背景に映し出される呪文のような英数字の羅列はアプリ開発の夢を断念させ、アイデアの実現を妨げてきたことでしょう。

ノーコードの登場で、コードを読み解くための専門書と向き合わなくてよくなったのは非常に大きなメリットです。
また、開発に不可欠だったサーバー構築などの開発環境の準備なども不要になります。

開発時間が短縮される

Webサービスやアプリを作成しようとすると、「設計、開発、テスト、修正」といった一連の作業が必要になります。
そのため、開発期間は、一般的には最低でも3ヶ月はかかってしまいます。
しかし、ノーコード・ローコードの開発サービスは、ドラッグ&ドロップで開発を実施していくので、短期間で作成できるのがメリットです。

試作に有用

ノンプログラマーだけでなく、プログラマーにとってもノーコードやローコードは有用です。
Webサービスやアプリをイチから設計し、開発を行うと時間も費用がかかるものです。
そのため、サービスのコンセプトやユーザーニーズなどを事前に確認するためや、顧客や社内で決裁や確認をとるための、試作品として活用するための便利な手段になり得るでしょう。

デメリット

カスタマイズや拡張性の制約

本格的なプログラミングに比べて、利用できる機能が、サービス提供しているプラットフォームに依存するため、オリジナルの機能を追加したい場合に対応できないことがあります。
また、自社で既に利用している他社のサービスなどと連携したい場合にも対応できない可能性があるので注意が必要です。

大規模なアクセスや多数の利用者が見込まれる場合に不向き

従量課金のサービスも多くあり、社内の独自サーバーを利用しているケースとは異なり、アクセス数やユーザー数が多くなると、費用が高くなることがあります。
また、業務用アプリなどであれば、メモリの容量に制約があったりすることもあり、利用する規模や期間に応じて、判断する必要があります。

サービスの継続性やセキュリティ対策

提供されているプラットフォーム上で開発やサービスが動くことを前提にしている場合が多く、運営会社がサービス停止や終了してしまう場合、自社もサービスの提供ができなくなってしまう可能性があります。
また、セキュリティ対策もプラットフォーマーに依存してしまうため、自社のセキュリティポリシーに準拠できるかは、事前に確認が必要です。

ノーコードサービスの事例

アメリカのある調査によると、「2024年までに世界で開発されるアプリケーションの65%がノーコードあるいはローコードで開発される」と予想されています。
開発工数やコストの削減には今後、ノーコードやローコードの活用は欠かせません。

サービスの具体例を以下にご紹介しましょう。

サービス事例

kintone(キントーン)

サイボウズ株式会社が提供している、業務アプリ構築クラウドサービスです
マウス操作で直感的に自社に合った業務アプリが作成できる他、豊富なAPIを通じて他システムとの連携も容易に可能です。
さらに、JavaScriptなどを使用したカスタマイズも可能です。

Webflow(ウェブフロー)

Webflowは、ブラウザーベースのビジュアル編集ソフトウェアを使用してレスポンシブWebサイトを構築できるサービスです。
コーディングなしで、自動的にHTML、CSS、およびJavaScriptを生成し、ウェブサイトを構築してくれるツールです。

Salesforce(セールスフォース)

クラウドベースの顧客管理(CRM)ツールです。自社にあった使い方に応じて、カスタマイズをすることが可能です。
オブジェクト指向のプログラミング言語Apexを利用します。

その他、当メディアが取り上げたサービス

他にも当メディアではノーコード・ローコードサービスを個別に特集しております。

こうしたノーコードやローコードは、どのような人に向いているサービスなのでしょうか?

それは、アイディアに溢れ、創造力のある“ノンプログラマー”です。
専門的知識がなくても、ノーコードやローコードを活用すれば、アプリ開発できる道が開かれます。

形にするだけの価値があるアイディアはむろん大事ですが、必ずしもアイディア先行でなくても構いません。
ノーコードやローコードでなんとなく作っているうちに、良いサービスのアイディアを思いつくこともあるからです。

注意したいのは、アプリ開発が楽になるとはいえ、サービスの流れを考えるのはあくまで開発者自身だということです。

実現したいプランが複雑になるほど、サイトのデザインやページの遷移、構造化などについて考えを巡らせる必要があります。
どんなUIにすればユーザーの満足度を高められ、何度も利用されるアプリやウェブサービスになるか、構想をよく練ったうえでノーコードやローコードを活用すると良いでしょう。

まとめ

プログラミングの知識は限られた人だけのもの。そう思われた時代は、もう過去になりました。

抜群のアイディアさえあれば、便利なアプリやウェブサービスが誰でも簡単に開発ができてしまうのが今の時代です。
ノーコードとローコードを使いこなし、あなただけのひらめきや着想を世に送り出しましょう。